全ての曲が実話から、わたしの実話の場合もあるし、誰かの実話の場合もある。
働くオトナのドキュメンタリーは一つ一つがショートストーリーということで、今回は現在制作中の新曲の中の一つ、「十色道」について。
読み方は、トイロード。
この曲は、自分の過去の恋愛がもとになっています。
本当に大好きだったからこそ、離れることを決めた瞬間があった
彼はいつも、本当は口下手なわたしの気持ちを誰よりも早く汲み取って、不器用な言葉をひとつひとつ引き出してくれるような優しい人だった。
多くは話さない、でも必要なことをいつも話してくれるような、静かに包み込むようなあったかさを持っている人だった。
こんなに純粋な大人の男の人っているのかなって思うくらい純粋で、でも幼稚だった。
心の奥深くに抱えているわたしの闇が消えないことをいつも静かにわかっていて、それでもずっと一緒にいてくれた、どんなときも支えてくれた人だった。
わたしが彼を好きになるのはごく自然なことだったし、彼もわたしを大事にしてくれたけど、でもどこかでいつもすれ違っていた。
いくら言葉を交わしても、どこかでいつも少しかみ合っていなかった。
それをわたしから言葉に出したことは一度もなかったけど、気づいていたけど、でも気づかないふりをしてた。
そしてある日。
「いくら考えても、俺お前のことどうしても全部わかってやれないんだ」
「そんな自分が不甲斐ないし、情けないんだ」
そんなことを言われた日。
「俺じゃお前のこと救ってやれないんだ、一緒にいるべき人間じゃないんだ」
「いつか絶対、もっとわかってくれる奴現れるから、それまで待て」
そして少しずつ、距離ができていった期間。
その人に「助けてほしい」なんて全く思ってなかったのに
別々の人間だからそんなのできなくて当たり前なのに
わたしのこと一生懸命考えて、そんな風に思うのってすごいなって
いろんなことを冷静に考える自分がいたのと同時に、やっぱりつらくなったよ。
涙が止まらなくなったよ。
大好きだった人。
でも結局わからなかった人。
打算的なことなんて何もなくて、心の底から大切に思っていた人。
同じ人間で、同じ日本語を使っても、やっぱり理解し合えないんだって失望した人。
好きになればなるほど、大事に想えば思うほど、自分とは違う人間だって知って、どんどん相手のことわからなくなることがあるんだなって、そんなことを二人で知った。
もうそれからは、別々の道に行こうって、そう決めたんだった。
続いていく道の中で、別の形で再会できればそれで良いなって思えた
今はもう、その人が幸せに好きなことをしながら平和に生きていければ良いなって思っているだけ。
たまにわたしのことを思い出すかもしれないし、思い出さないかもしれないけど、もしかしたら永遠にわたしのことなんて忘れてるかもしれないけど、わたしは忘れないのよね。
忘れないけど、多分もうほとんど会わないような気がする。
生まれ変わって、別の人間になったときに再会できたらちょっと嬉しいなっていうくらい。
そのときは、わたしのこと、わかってもらえたらいいなって、ちょっと思うくらい。
だから、曲の最後にこんな歌詞を入れた。
二人で色を付けた この道は
分かれてしまうけど
流れる記憶に涙預けて
その日が来るまで
次に巡り合える日まで
分かれた先の色は知らない。
どんな色になるのかなって、そう思いながら作りました。
YouTubeでアニメーションMVを公開しました!
楽曲ひとつひとつは、いろんなことがきっかけで誕生するものだけど、わたしの曲は全部実話から。
自分の過去の恋愛を文字におこすのは気が引けたけど、でもこの気持ちは取っておこうと思いました^^
いつかまた彼に会う時があるかわからないけど、今でも心の底から彼のことが大事だし、幸せになってほしいなと思う。
恋愛って、特定の人とちゃんと向き合ったとき、究極別れるか結婚するかくらいの2択にしかならない気がするけど、過去は過去としてとらえながら大事な想い出にするのも良いのでは。
つらい波が去ったあとに、それでも大事にできるものが未だにあるのなら、それは本当に必要だったんでしょうきっと。
最高の感謝が彼に届きますように。
MIMO